うつに苦しんでいる大学院生のあなたへ

こんにちは。このブログは長らく放置していましたが、ぽつぽつとアクセスがありました。大学院生の就職に関して調べ物をしている人のアクセスが多かったようですが、「うつ」関連のキーワードでアクセスしてくる人が少なからずいるのを気にしていました。ふと思い立って、今回はうつについて書けることを書いてみます。

前回の記事を書いてからこれを書くまでに、僕の身辺にも(自分にとっては)大きな変化がありました。最も大きな変化は、博士論文を提出したことで、まもなく審査が行なわれることです。(追記:その後まもなく、審査を経て無事博士号を取得しました。)


ひょっとすると、いま死にたいと思っていますか?

死にたい、あるいは死ぬことにした、というあなたの決断を重く受け止め、尊重させていただきたく思います。
ただ、そのようにあなたが感じていると想像することが、僕にとってとてもつらいことです。あなたが大学院生なら、あなたはいままでものすごく頑張ってきたんだろうと思うからです。また、以下に書くように、僕も博士論文を書く最中で一度死ぬことにしたからです。で、いまこうしてこのようなものを書いています。何かの参考になるかどうかはわからないけれども、ざっと読んでみてもらうといいかもしれない。それで、単なる精神論しか書いてなかったら、「けっ」と思ってください。


抑うつ状態を経験して

博士論文を書き始めてから提出するまでに、おそらく僕はうつになりました。
おそらく、というのは、精神科に通って診断を受け、薬の処方を受けたことがないからです。ただしカウンセラー(臨床心理士)の先生の援助を受けました。つらいと感じたらいつでも薬の処方が受けられる体制にしてもらっていましたが、結局今にいたるまで薬を使ったことはありません。
このようなことを他の人に勧めているわけではありません。


ふとしたきっかけから強い抑うつ状態が続くようになり、眠れなくなり、いわれのない焦燥感と不安感からいてもたってもいられなくなったため、カウンセリングを受けました。
カウンセリングを初めてからも数カ月間の間抑うつ状態が続き、およそ半年間の間、博士論文は一行も書けませんでした。しかし結果的に見れば、自分で定めた期間から3,4ヶ月遅れただけで無事に論文を提出することができました。そのころには抑うつ状態は消えていました。
再び書くことができるようになったきっかけは、学会発表の原稿を無理して書いて、発表した後に勢いで博論に戻ったことでした。


抑うつ状態が強かった間は、身体の自由がききませんでした。病気ではないと思っていたのに、明らかに筋力が低下したことに自分でも驚きました。元気だった頃のようにジョギングを続けようとしても、息が上がってしまい、以前と同じ距離を走り続けることができませんでした。


死を決意して

なんとかして、一日でも、一時間でも、一分でも早く今の状況から出ていきたいとばかり考えていました。状況を変えるために、かたっぱしからフェローシップに応募していましたが、一つを除いて全て落ちました。

某研究員の不採用が決まったとき、もう研究をしながら食べていく道は完全になくなったと思い、死ぬことにしました。書きかけの博士論文だけは終わらせなければどうも落ち着かないと感じたので、博士論文を提出後か、審査終了後に死ぬことにしました。
いったん死ぬことに決めてしまえばあとは死に方を決めるだけでした。
とはいえ、家族や友人を傷つけたくなかったので、誰にも気付かれずに消える方法を調べ続けました。起きている間はずっと死に方について考えていました。
外に出て歩いていると、ああ、もうこの景色とか猫とか見るのも終わりなんだな、と思いました。

はじめて本気で抱いた希死念慮がどのようにして消えたかを、いまだにはっきりと説明することができません。それはかなり唐突なものでした。おそらく、このような状況に至ったとき、それぞれの人にとって、不思議なことが起こるのかもしれませんが、自分のことすら完全にはわからないのでなんとも言えません。
ただ、死ぬことを決めたと知らせたときに、カウンセラーの先生がとても残念がって悲しんでくれたことに今でも感謝しています。


事後的に思うこと

抑うつ状態になるまでは、わりといいペースで上手くやっているのではないかと自分では思っていました。会社に毎日行き、その合間に紀要論文を書き、学会発表をやり、論文の査読に通り、将来の就職に備えて語学と法律の資格を取り、ジョギングと筋トレをし、おれってけっこうマッチョじゃね? と思っていました。
でも、突然にがたっと壊れました。
抑うつ状態の間は、文字通り生きているだけでせいいっぱいでした。何もしたくないし、誰とも喋りたくないし、かといってじっとしてもいられず、なにかやろうとすると何も出来ない。人生オワタと思っていました。
ようするに、自分と他人に対して傲慢であったつけがまわってきたのでした。
自分が壊れる人間であるということを、すっかり忘れていました。


それで、あなたはうつですか

大学院生で、うつになって、就職のあてもなく、お金もなく、ひょっとすると、人生オワタと思っていますか。
そのように思うということは、きっとあなたはいままで本当に頑張ってきたのだと思います。つらくても助けを求められなくて頑張ってきたのだと思います。ほんとうによく、頑張ってきたのだと思います。
もう休みたいですか、すべて終わりにしたいですか。この世から消えたいですか。
そうですか。
この世から消えることは、明日でもできます。明後日でもできます。
とりあえず、今晩は寝てみませんか。
自分の経験上から言わせてもらうと、寝不足になると、うつ状態はすごく悪化します。
つまり、あなたがいまそのように感じている気分は、あなたの人生が終わっているためではなく、あなたの睡眠時間が足りていないためである可能性があります。


とりあえず寝て、起きて、人生終わってるなーと思ったら、逃げてみませんか。
逃げることはたしかに恥ずかしいです。僕も恥ずかしかったです。俺の人生終わったと思いました。

チェ・ゲバラはいっていました。ゲリラ戦の目的は相手が全滅することであるから、とりあえず自分が死んではいけないと。それがルールだと。
逃げることは戦術の一部です。最後に勝つための。

精神論はさておき、いてもたってもいられない気持ちをなんとかしたいとき、
いままで学生相談センターとかに一度もいったことがなかったら、とりあえず行ってみませんか。
近くの病院でもいいです。
あるいはこういうところもある。


説教臭く見えてしまったらすみません。そういうつもりではなかったのですが、そう見えてしまうのかもしれません。
ただ、あなたはとても頑張ってきたのだと思うので、そこは認めたかったし、そのことに対して、あなたに自分自身を敬ってあげてもらえたら、などと思ったのでした。そして、いつか、お互いに、こんな研究やってるんですけどね、やってたんですけどね、なんて話ができたら楽しいな、なんて思ったのでした。
おやすみなさい。